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W調査結果の総括

7.男女共同参画に関する用語や制度、機関について

 本調査では、女性を取り巻く問題に関する用語や制度、機関についての認知も尋ねている(問15)。結果を見ると、全体的に見て認知度は高くはなく、こうした問題に対する人々の関心について課題が示されたと言える。基本法第16条では、その基本理念(男女の人権の尊重、社会における制度又は慣行についての配慮、政策等の立案及び決定への共同参画、家庭生活における活動と他の活動の両立、国際的協調)に関する国民の理解を深めるための措置について謳っているが、その基本法の認知度自体が回答者の2割程度とまだ低い。また、理解ということに関して言えば、調査の自由回答において、性差や性別役割分担に関する記述で次のような意見が少なからず見受けられた。「男女平等とは言うものの、出産が女性にしかできないように、男性には男性向きの女性には女性向きの仕事があり、男女がそれぞれの特性を生かした上での共同参画こそ大切だ。」しかしこの見解は、「出産」という女性の生物学的特徴と「女性向きの仕事」という社会的役割を混同しているところに大きな誤りがある。つまり、男女共同参画の本来の意味は、これまで「男性向き、女性向き」と考えられてきた様々な社会的役割を見直して、家庭的役割のみに閉じ込められてきた女性の様々な領域での社会参加を促進し、また男性の側では、過労死に至るまで仕事中心になりがちな男性役割を見直して、地域や家庭との絆を取り戻すことでより人間味のある生活をパートナーと共に築き上げることにあるのである。  したがって県としては、男女共同参画に対するこうした諸々の誤解を払拭するためにも、正しい理解が深まるような広報・啓発をしていく必要があるだろう。

8.おわりに 〜 今後の課題と展望

 島根県において男女共同参画を推進していくためには、少子・高齢化、過疎化の問題との関わりについても忘れてはならない。65歳以上人口が全国第1位(平成10年)という超高齢県であることは言うに及ばず、合計特殊出生率(注3)1.67人(平成10年、全国第2位)と比較的高率を保っているものの、過疎化とあいまって普通出生率(人口1000人当たり)では全国第44位(平成10年)と状況は深刻である。こうした事情に鑑みても、今後様々な領域で女性の潜在能力を生かす必要はますます高まるであろうし、男女共同参画の視点で男女共に安心して生み育て老いることのできる社会を目指すことが、島根県全体の活力へと結びついていくのは間違いない。

 女性問題の解決のためには男性の意識改革が必要とはよく言われることであるが、島根県においては、女性自身にも性別役割意識が根強かったり、またそうした社会風土のなかであきらめたりしている状況が調査結果からは伺える。自由回答では、このような女性の姿勢を改め、まずは女性自身が積極的に社会的・経済的自立に向けて主体的に取り組むよう努力すべきとする意見も多く見られた。確かに、不平を言うばかりで努力しないのでは何も始まらない。しかし他方で、根強い社会通念・慣習や制度の不十分さのために、意欲ある女性であっても性差別的な偏見に基づいた様々な壁にぶつかることが多いことも調査結果から容易に推測できる。

 こうした実態を踏まえつつ、行政における取り組みを実効力のあるものにするためには、まず、県や各市町村が連携して男女共同参画社会へ向けての体制を確立することが急務である。その場合、市町村の中には女性政策担当の部署が兼務となっているところもあるが、効果的な施策を企画・推進するためにも専門の部署とすることが最低限必要である。さらに、施策を実施していく上では基本法第15条の考え方を踏まえる必要がある。すなわち、直接的に男女共同参画社会の形成に関係する施策ではなくとも結果的にはそのあり方に影響を及ぼすことがあるので、そのような施策の策定・実施に当たっては男女共同参画の促進に配慮するべきである、というものである。言い換えれば、女性政策の担当課ではなくとも、男女共同参画の問題に配慮して施策を講ずることが求められているのである。そのためには、県や市町村において、女性政策担当部署の職員のみならず、施策の策定・実施に男女共同参画社会形成の視点を持って取り組むよう研修・教育の必要があるだろう。

 最後に、来年度策定予定の県計画には、この調査の結果が活用されることになっているが、今回の調査で県民全ての意見を包括的に汲み取れているわけではもちろんない。計画には多様な県民の意見や要望を反映すべきで、そのためにも様々な分野の県民を構成ンバーとする何らかの検討会が持たれることが望ましい。また、そうした検討会以外にも、県民からの意見や要望を幅広く取り入れられるように、たとえばファックスや郵便、電子メールでの受け付けなどの仕組みも採用すべきであろう。

注1)隠れたカリキュラム(hidden curriculum)

 学校教育において、たとえ制度上は男女を差別することなく平等なカリキュラムが敷かれているとしても、学生を効率的にコントロールするために男女別にカテゴリー化したり、無意識の内に男女で別々の役割を期待するような指導を行ったり、使用する教科書等に男女の役割分担を反映するような表現や描写が多かったりする場合、潜在的に男女別の役割意識や女性への差別が助長されるとして、これを隠れたカリキュラムと呼ぶ。学校現場において男女平等意識を高めるためにも、正規のカリキュラムはもちろん、こうした無意識の差別・区別化をなくすような指導のあり方こそが重要である。

注2)NGO(non-governmental organization)、NPO(non-profit organization)

 利潤目的でなく、人権、福祉、環境問題など、公益的な分野で活動に取り組む民間のボランティア団体をさす。同じ民間のボランティア団体でも、一般に、NGO(非政府組織)は開発途上国の支援など国際的活動を、NPO(非営利機関)は国内の地域レベルで活動する団体をさすことが多い。女性の人権尊重や暴力根絶への取り組みを、NGOまたはNPOとして行うことは、行政の行き届かない部分を補ったり、迅速な対応、現場や経験を重視した取り組みという点で、今後ますます重要性を増すと思われる。

注3)合計特殊出生率

 一人の女性が一生のうちに平均何人の子どもを産むかを示す数値で、その年の15歳〜49歳の女性の年齢別出生率を合計したもの。1989年、それまでの最低であったひのえうまの年(1966年)を初めて下回り、「1.57ショック」と言われたが、その後も下がり続け、1998年は全国で1.38という史上最低を記録している。

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