基本的な考え方編 1/3

ジェンダーとセックスの
違いは何ですか?

〜性にもいろいろある:女性、男性、個性〜

イラスト セックスは「メス/オス」の区分のように生物学的に決定される性です。ジェンダーは、その「メス/オス」という生物的性に倣って、特定の文化や民族、特定の時代が割り当てた社会的・文化的・心理的性です。「女/男」という区別はすでにジェンダー概念です。この二つの性に「らしく」という語尾を付けてみましょう。

 「メスらしく/オスらしく」、「女らしく/男らしく」

 後者はおかしくありませんが、前者は変ですね。その理由は、前者が遺伝子DNAで決まる特性で、「らしく」などと付けても無意味だからです。

 人間以外の多くの動物は、オスらしくと言わずとも遺伝子情報によってオスの生き方を貫けます。しかし、人間は違います。遺伝子情報だけでは、「男らしい」生き方も、「男らしくない」生き方もできません。それは生まれた後で獲得される性質だからです。後天的にしか決まらない性質だからこそ「教育」と「しつけ」によってたえず強化する必要があるのです。その教育としつけは、その社会がどのような「らしさ」を必要とするかによって決定されてきました。社会や民族の数だけの「らしさ」があります。その「らしさ」が今世界的に大きな問題となってきています。

 「女らしさ/男らしさ」にはそれぞれの果たすべき役割が重ね合わせられています。つまり、子孫を子宮から生み出す機能をもつ女性が、授乳を出発点として子育てから介護まであらゆる無料の愛の奉仕労働をし、男性が外で働き経済的に支えるのが「自然」だと考えられ、これが男女間に様々な不平等をもたらしているのです。しかし、これは決して自然ではありません。女性が子を産むことと、女性が料理番をすることや親を介護することや男を立てることの間には、何の必然的な関係もありません。遺伝子にのっていない情報を学習によって獲得するのが人間の生き方であり、だからこそ、料理や子どもの世話の大好きな男性もいれば、宇宙飛行をするのが得意な女性もいるのです。

 男女間に不平等をもたらすジェンダーが社会的に作られたものなら、それを社会的に取り去ることも可能なはずです。ある特徴を「女らしさ/男らしさ」などと決め付けたり分類したりせず、「その人らしさ」、つまり個性と考えてみましょう。そして、「自分らしさ」はどういうことかを考えてみましょう。人間を人間らしくするのは、個性です。他の高等動物にも個性はありますが、人間ほど個性的な存在はありません。人間は、一人一人が個別の環境や人との出会いの中で独自に成長するからです。人を男と女に二分類して安心するのではなく、その人自身を見る目を養っていきましょう。

ワークシェアリングをすすめよう

 高度経済成長期には、夫婦の役割分担は「男は仕事、女は家庭」という明確な構図がありました。近年では結婚や出産を迎えた女性が働き続けることを選んだり、一度退職しても子育てが一段落した後に再び就労するようになり、従来の構図は大きく変化しました。しかし、女性の家事負担は軽減されることなく「男は仕事、女は家庭も仕事も」と、二重の負担を強いられています。

 このような結婚、出産、育児にともなう負担の増大が、女性の晩婚化、非婚化、晩産化を招き、少子化現象の一因になっていると指摘されています。

 一方、男性は一家の稼ぎ手の主役であることに変わりはなく、仕事中心、会社中心の生活を余儀なくされています。その結果、家事や育児、介護などの楽しさ、難しさ、喜びなどを家族で分かち合えない状況にあり、生活者としての自立を阻まれているといえるでしょう。

 これからは、女性にも男性にも対等に家庭のことも仕事も担える権利と責任とが必要です。そのためには、男女がもっと家事・育児・介護など家庭内での体験を共有することで、自身の性別役割分担意識をなくすことが大切です。そして、同時に育児・介護休業制度を、女性はもとより男性にも取りやすいものにするなど実効性を高めたり、労働時間の短縮等の企業側の環境整備など、社会全体としての取り組みを進めていかなければならないのです。

 ワークシェアリング(仕事の分かち合い)は異性間の、そして世代間のギャップを埋めるために必要なことです。