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W調査結果の総括

4.女性と仕事について

 島根県における女性の年齢別就労率を見た場合、全体としての就労率が全国平均と比べて高い上に、20代後半〜30代前半にかけてのいわゆる出産・育児による就労中断の時期の就労率も全国平均よりかなり高くなっているという特徴がある。この事実から、島根県の女性の経済的自立は進んでいると捉える人も少なくないようであるが、果たしてそう単純に考えてよいだろうか。

 本調査で女性の望ましい仕事の就き方について意識を尋ねたところ、「子どもができたら仕事をやめ、大きくなったら再び就労」という「中断・再就労型」と、次いで「子どもができても仕事を続ける」という「就労継続型」を望ましいと思う人の割合が高くなっており(問7)、これら2つの項目を合わせた選択率は、平成7年度の総理府調査のものよりも高い。総理府調査の方が、一度も仕事に就かない「不就労型」や、結婚・出産後は仕事に就かない「結婚・出産退職型」を望ましいとする割合が高くなっていて、この結果からは、島根県の女性の就労意欲そのものは、中断・再就労形態も含めてはいるものの高いと言える。

 しかしながら、島根県では全国と比較して、一人当たりの県民所得が低いこと、農林漁業従事者が多いこと、3世代同居の家族が多いという産業・就労構造の特徴があり、このことが女性の就労率の高さと深く関わっていると考えられる。したがって、たとえ見かけ上の数値で就労意欲や就労率が全国平均より高いとしても、それが制度的に支えられているとまでは言い切れない。

 また、「就労継続型」と「中断・再就労型」とを比べた場合に、「中断・再就労型」を望む人の割合の方が高くなっていること(問7)も問題を含んでいる。そのことの理由としては、女性が子育てを担う方が好ましいという性別役割分担意識や、女性にとっては自らの手で子どもをきちんと育てたいという意識に加え、育児休業やその他の子育て支援策の未整備、また現実にそうした制度・機関を利用しにくい雰囲気などが考えられる。しかし、女性が就労中断後に再就職しようと思っても、雇用環境・待遇などはあいかわらず厳しく、これではいつまでたっても女性が自立し、男性の対等なパートナーとして仕事をするような状況は望めない。

 改めて言うまでもないことだが、女性が働きやすく自立できる社会を実現するには、家庭と職場双方からの変革が急務である。家庭においては、固定観念化した性別役割分担をいま一度考え直し、子育てのほか家庭内の事柄をすべて女性(母親)だけの責任とせず、男性も平等に担うことが必要で、県の施策としてもこうした方向への変革を積極的に支援していくべきである。また、子育て期間中も継続就労できるような体制や施設の整備も喫緊に必要である。調査結果でも、女性が働きにくい理由として、「育児施設が近所や職場に整備されていない」、「働く場が限られている」といった項目が上位に選択されている(問8−1)。施策として、保育所などの整備をさらにいっそう推進していくことはもちろん、それに加えて利用する住民の側の視点に立って制度や設備を活用しやすいように工夫することが求められる。さらに、職場の環境改善についても、行政から均等法や育児・介護休業法の内容を各企業に正しく認識してもらい、それに沿うように十分な対策を講じるよう積極的に働きかけることも重要であろう。例えば、既に労働省島根女性少年室に設置されているが、働く女性からの苦情窓口の一層の周知に努めたり、また、女性が働きやすい職場づくりに熱心な企業には何らかの助成や優遇措置を行うなど、より実効的な取り組みが求められる。

5.仕事と家庭生活・地域活動について

 本調査では、仕事と家庭生活・地域活動について、男女の望ましい両立または優先の仕方を尋ねている(問9)。その結果、女性の生き方、男性の生き方とも「家庭生活または地域活動と仕事を同じように両立させる」が第1位に挙げられてはいるものの、第2位には、女性の生き方としては「家庭生活または地域活動優先」が、男性の生き方では「仕事優先」が望ましいとされていて、結局基本的には女性は家庭に、男性は仕事に軸足が置かれていると言える。またこのことは、家庭における主な仕事の担い手が妻という調査結果にも反映されていて、これは妻が専業主婦であろうと共働きであろうと結果に大きな差はない(問10)。つまり、タテマエとしては「男は仕事、女は家庭」に否定的な人や、「男性の生き方として仕事と家庭等を両立」と考えている人であっても、自分の家庭の実態としては妻が家事を担っていることがここから伺える。そうした現状のままでは、結局は「男は仕事、女は家庭も仕事も」ということになり、女性の過重な負担感も容易に推し量れる。

 基本法第6条では、男女共に家庭生活における活動とその他の活動(職業、学校、地域活動)の両立を図ることの重要性が指摘されており、県でもこの方針に倣った具体的対策を考え、実施するべきであろう。女性が職業活動により参画し、男性も家庭での活動により参画できるためには、前項で述べたような施策が求められるが、ここではもう一点、地域活動のあり方について付け加えておきたい。調査では、男性が家庭の活動や地域活動に参加するために必要なこととして、「男女の役割分担についての社会通念、慣習、しきたりを改める」という回答が多くなっているが(問11)、地域活動における男女の役割分担には二つの面があると考えられる。一つは、地域活動そのものに男性があまり参加せず、女性がその役目を担わされることが多いという面、もう一っは、男性が地域活動に参加する場合でも、リーダーは男性、下働きは専業主婦や自営業(農林漁業を含む)の家庭の女性中心であるという面である。地域活動におけるこうした二重の意味での性別役割分担の現状を見直し、女性も男性も共に地域を担って、地域活動の中で達成感を持てるようなものにシフトしていく必要があり、県としてもそうした方向での地域活動を積極的に支援していくべきであろう。

6.女性の人権について

 女性の人権について特に注目されるようになったのは、1995年の北京会議(第4回世界女性会議)以降のことである。会議では、女性に対する暴力を人権を侵害するものと認め、その撤廃が行動綱領に盛り込まれたが、最近ますますこの問題の重大性が指摘されている。

 女性への暴力は、女性を対等な個人として評価しない差別意識がその根底にあるのだが、以前は、暴力を暴力として認識できていなかったり、潜在化することが多かった。もちろん、現在にいたってもこの傾向はまだまだ改善されたとは言えないが、こうした流れの中で、基本法第3条では男女の人権尊重が強調され、行政においてもようやく対策に本腰を入れ始めたと言える。今後、より適切で迅速な行政からの取り組みを進めていくためにも、今回の調査結果を考察してみよう。

 女性に対する暴力の主なものの一つにセクシュアル・ハラスメント(セクハラ)があるが、調査では、この定義についてどう捉えるかを質問したところ、適切に認識している回答者は全体の3分の1のみであった(問12)。男女雇用機会均等法が改正され、新しくセクハラ防止への配慮が盛り込まれたと言っても、この結果からは、セクハラ防止への認識が浸透しているとは言い難い。また、夫婦や恋人など、パートナーからの暴力(ドメスティック・バイオレンス)を経験したり見聞きしたことがあるかを尋ねた設問では、全体の20人に1人が自分を含め身近に暴力被害の経験者がいると答えている上、女性の30人に1人が実際に自分が暴カを受けたことがあると回答している(問13)。さらに、調査の自由回答の中には、実際に自分が夫から継続的な暴力を受けているという切迫した記述が2件もあった。ドメスティック・バイオレンスが、家庭内のこととして隠れてしまいやすい問題であることを踏まえても、これらの調査結果は決して軽視してはならないし、行政としても有効な対応策を講じることが求められる。まず必要なのは、暴力の実態をきちんと把握するために、より詳細な調査を進めることであろう。そして、県民に対しては、どういうことがセクシュアル・ハラスメントやドメスティック・バイオレンスになるのか、どうしてそれがいけないのか、ということについて認識を深めてもらうような啓発活動を一層推進する必要がある。

 その上で、今後は、暴力をなくすための具体策が立てられるべきであるが、調査結果からは、その方策として「過激な内容の雑誌、ビデオ、ゲームソフトなどの販売・貸し出しの制限」が多く選択されていた(問14)。これについては表現の自由との関連もあり、具体的に制限することが難しい面はある。しかし、送り手側の意識が女性の人権や性差別に無頓着なところで表現の自由を持ち出すこと自体にまずは疑問を持つべきであろう。つまり、送り手にも女性の人権に配慮した姿勢が問われるわけで、行政としても直接的な制限でなくともこうした視点から対応していくことが必要であろう。暴力をなくす方策として次に支持率が高かったのは、「被害女性のための相談機関や保護施設などの整備」である。これに関しては、基本法第17条で人権が侵害された場合の被害者の救済措置を講じるよう求めている。県の女性相談センターをはじめ、そうした機関の充実にさらに努めることはもちろん、今後、暴力防止に取り組んでいるNGO・NPO(注2)と行政との連携や、それらNGO・NPOへの支援の必要性がますます高まるであろう。

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